注意事項:こちらのヒロインはDROP-POPで連載中のPEACE MAKER原作沿い小説に出てくる
鉄之助の双子の姉という設定です。
卯月某日。
天気は快晴。
「鴨川の桜が満開ですよ」
沖田さんのこの一言で、私たちはお花見に行くことになった。
行くのは近藤局長に土方さん、言いだしっぺの沖田さん、宴会好きの永倉さんに原田さんに藤堂さん、三人に引きずられるように山南さん。
世話役として、私と歩さん。
そして。
「何であんたがいるのよ」
「何でお前がいるんだよ!」
荷物持ちに、鉄之助。
観桜の調
「花ー!」
「酒ー!」
「一発芸ー!ってな訳で原田左之助、腹芸行きまーす!」
「おーっ、やれやれぇ!」
・・・やっぱり。
あの三人に捕まらなくてよかったと思う。
不用意に近付いて悪ふざけに巻き込まれた鉄を見ると、心底。
「はっはっは!あいつら、またやっとるなぁ」
「原田サーン!お上手ですよー!」
豪快に笑う局長と、あくまで傍観者のまま煽る沖田さん。
「近藤さん、どうぞ」
「あっ!こりゃすまんね、歩くん」
歩さんが局長の猪口にお酒を注いだ。
既にほろ酔い状態の局長は、ほんのり紅潮した顔で嬉しそうに受け取る。
―――お弁当の準備しなきゃ。
お酒ばかりじゃ身体に悪いし。
お弁当に手を伸ばした、その時。
ずいっ
「え?」
「注げ」
「はっ?」
「注げっつってんだ」
さっさとしろ、と不機嫌そうに杯を差し出す土方さん。
・・・歩さんに言えばいいのに。
首を傾げながら新しい酒を開け、杯に注ぐ。
「・・・ちっ、これだけかよ」
少なめに注ぐと、あからさまな舌打ち。
いい加減呑みすぎですよ。
「もしかしてこの煮付けの味を付けたの、さんですか?」
お弁当をつついて、沖田さんが一言。
「あ、はい。そうですけど・・・」
「やっぱり!道理で不思議な味がすると思いました!」
・・・不思議な味・・・?
「そうなのか?どれどれ・・・」
「私も頂きましょう」
局長と山南さんが同時に箸を伸ばす。
「ふーむ・・・甘いような、香ばしいような・・・」
「でしょう?不思議な味ですよね!」
「ははは、風味豊か・・・なのかな?」
好評なのか、不評なのか。
となりで歩さんがくすくす笑っている。
あ、土方さんも食べてる。
「・・・意外とクセになるな、この味」
・・・これは、褒められた?
歩さんのほうを見たら、ぱちりと片目を閉じてくれた。
昼になる少し前、山崎さんが来た。
昨夜からの任務帰りらしく、土方さんを探してここまで来たそうだ。
「副長、先日の一件について・・・」
「あぁ?」
土方さん、目が据わってる・・・
散らばってる酒瓶の量、凄いからなぁ。
「ンなの後にしろ、呑め」
「・・・自分は、この後任務がありますので・・・」
あ、何となく山崎さんが引いてる。
そうだよね、普通土方さんはここまで羽目を外したりしないし。
もし刺客が来てもその時はその時でちゃんと対応できるだろうけど、今はちょっと駄目みたいだ。
「山崎さん。土方さん酔っ払っちゃってるから、後のほうがいいですよ」
「・・・」
沖田さんがそう言うと、山崎さんは「そのようですね」と立ち上がった。
「あれ、もう行っちゃうんですか?」
「はい」
「あ、その前に何か食べてから行きませんか?」
「いえ、このまま・・・」
「今屯所に帰っても、賄い方出払ってるから何もないですよ?昨日の夕餉も食べずに行ったんですから、お腹減ってるんじゃないですか?」
「おお、山崎くん来とったか!まあまあ座りなさい!」
局長が自分の横をバンバン叩く。
その気迫に押されたのか、ここは素直に聞いたほうが早く終わると観念したのか、山崎さんはしぶしぶという感じで腰を下ろした。
「はい、これ食べてみてください!」
沖田さんが笑顔で差し出したもの。
「ちょ、沖田さ・・・」
先程話題に上った煮付け。
抗議の声を上げようとしたら、沖田さんに口を塞がれた。
「〜〜〜っ!!〜〜〜!」
「さ、どうぞ〜」
山崎さんが一口分だけ取り、口をつける。
口に入れた瞬間から表情が少しずつ変わり、薄い眉がどんどん顰められていく。
そして、じろりとこっちを向き。
「・・・味付けたの、お前やろ」
沖田さんに口を塞がれたままなので、おずおずと頷く。
「・・・醤油とみりんの入れすぎや」
そっか、それだったのか。
どさっ。
桜を見ながら句を詠んだり、芸を見せ合ったり。
そんな和やかな時間に割り込んだ、鈍い音。
「て、鉄?」
お腹にひょうきんな顔が描かれた、間抜けな格好。
その顔は心なしか赤い。
「・・・って!誰ですか、鉄にお酒飲ませたの!」
「ごっめーん、俺たち」
はーい、と小さいのを先頭に大中小と手が上がる。
「いやー、鉄クンいい呑みっぷり!」
「でも二合くらいで潰れちゃー、まだまだだな!」
「どうちゃん、一杯?」
「結構です!」
そう言って、距離を置こうと立ち上がる。
その瞬間、ぐいっと引っ張られて思わずがくん、と膝をついた。
「・・・鉄?」
「うぃ〜・・・」
「ちょっと、離してよ!」
「や〜・・・」
そう言うと、もっと力を込めてしがみつかれる。
「水取ってくるから、離して!」
「・・・・・・」
「ちょっと鉄・・・鉄?」
「ぐー・・・・・」
・・・寝てる・・・
しかも思い切り抱きついたまま。
「あーらら。じゃあさん、しばらくそのままですね」
沖田さんがにこやかに言う。
「ちょ、沖田さん手を貸してください・・・」
「そんな無理に剥がさなくてもええんちゃう?まだ時間はたっぷりあるんやし、寝かせてあげ」
歩さんもくすくす笑って、「原田さんこれ借りますえ」と原田さんが脱ぎ捨てた羽織を鉄に掛ける。
そんな原田さんたちは、こっちを見て大爆笑中。
「局長・・・」
「はっはっは、鉄之助くんにまだ酒は早かったか!」
局長は豪快に笑ってる。
「山南さん・・・」
「ははは、こればかりは僕もねぇ・・・」
山南さんは苦笑い。
「チャーン、一杯どうヨ?」
「辛いモンじゃねーから!一杯だけ!」
「酔っ払ったら介抱してあげるからさー!」
三人は完全に舞い上がっちゃってるし。
「山崎さん・・・」
「ほっとけ」
山崎さんには、不機嫌そうに言われた。
仕方ない、最後の砦・・・
「土方さ・・・」
「・・・おい」
「はい!」
よかった、土方さんなら・・・
「俺も寝る、膝貸せ」
そう言って、ごろりと横になる土方さん。
・・・えええ!?
「そういう訳で、さんよろしくお願いします」
沖田さんはそう言うと、みんなの輪の中に入っていく。
取り残された私と鉄と土方さん。
左の膝に鉄の頭。
右の膝に副長の頭。
思わずはぁ、とため息をつく。
卯月某日。
天気は快晴。
桃色の空の欠片が頭に降りかかる。
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DROP-POP50000HIT記念でフリー配布されていた土方ドリームを頂戴してきましたー。
土方さんが「クセになる味」って言うなんて、それってすごい誉め言葉ですよね!?
しかも膝枕ですよ膝枕!
おいおいおいおい天下の土方ともあろう者がこんなオイラにイチコロだぜ!?
・・・という満足感と優越感が得られました。
ありがとうございました。
あ、鉄も膝枕してましたね。(←オマケですか)
これからも素敵な作品お待ちしてますよー。
サイトの運営も大変でしょうけど頑張ってください。
改めて、50000HITおめでとうございます!!